デイサービスの機能訓練とは?リハビリとの違いを詳しく解説
- シェフズデイサービス
- 2023.01.27
みなさんは「機能訓練」という言葉を耳にしたことはありますか?機能訓練と同じような言葉として、「リハビリ」という言葉があります。
職員とともに体操や運動をして体を動かしたり、ベッド上でマッサージや筋力訓練をしたりと、「リハビリと似ているけど何が違うの?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、デイサービスで行われる「機能訓練」とは何かという疑問について詳しく解説していきます。
リハビリとの違いや実際の訓練内容も説明していきますので、これからデイサービスを利用する方や今利用している方も、是非参考にしてみてください。
機能訓練とは?目的や訓練内容について
最初に、機能訓練という言葉の意味について解説していきます。機能訓練とは、対象者の心身機能の改善や維持・減退の防止を目的とした訓練のことです。
機能訓練という言葉を聞いたことがない方も難しく捉える必要はありません。もっとかんたんにいうと、今のまま元気に生活していくための体の機能を訓練する、というイメージです。
そもそも、デイサービスとは“利用者(要介護等)を老人デイサービスセンター等に通わせ、当該施設において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練を行うことをいう”と介護保険法に定義されています。(引用元:介護保険法|厚生労働省〉
つまり、機能訓練はデイサービスのサービス内容にもともと入っているサービスということになります。してもらえる人・してもらえない人などはなく介護保険内のサービスに含まれているということです。(ご利用者さまによっては、希望により行わない方もいらっしゃいます。お気軽にご相談ください。)
ここまでで機能訓練という言葉から、なんとなく訓練内容もイメージできそうですが、「機能訓練は誰が行うの?自分で行うの?」という疑問にお答えしていきます。
上記した通り、機能訓練とは、対象者の心身機能の改善や今の心身の状態の維持・減退の防止を目的とした訓練のことです。今のまま元気に生活していくための体の「機能」を「訓練」によって維持・向上していくということです。
そのため、ご利用者さまが行うのではなく、デイサービス(通所介護サービス)の職員側が提供するものです。特別に自分で何か考えたり、道具を準備したり、などは必要ありませんので、ご安心ください。施設の職員がプログラムを考え、一緒に実施してくれます。
ただし、今ご自身が何に困っていて、どんなことができるようになりたいのかを職員と共有していくため、体や生活のことを利用者様に伺うことがあります。その際に職員と話したり、目標を一緒に決めたりという手順で協力が必要になってきます。
元気に生活していくための「機能」は人それぞれです。普段一人暮らしをされている方は洗濯や料理、必要であれば買い物などもし続ける必要があります。
旅行が好きな人はバスに乗ったり、時間の調整をしたり、荷物を準備したりといった認知機能が必要です。編み物や裁縫が好きな人は手指の細かい動きやずっと座り続けられる体力・集中力が必要です。
そのような最低限の生活やより楽しく暮らしていくための機能を訓練によって維持・向上していくのが機能訓練です。
そのため、実際の機能訓練メニューや目標は、ご利用者さま一人ひとりに合わせたものになります。具体的には以下のようなものです。施設によっても異なりますのでそこだけご注意ください。
機能訓練内容の例
身体機能の改善・維持を目的とするもの
- ベッド上でのストレッチやマッサージ
- 関節可動域訓練
- 集団での体操や運動
- マシントレーニング(自転車訓練、足の筋力訓練など)
- 歩行訓練(杖、歩行器などの歩行補助具の使用も必要に応じて行う)
- 階段昇降訓練
日常生活動作能力の改善・維持を目的とするもの
- 日常生活動作(更衣、食事、入浴動作など)
- 応用的日常生活活動(買い物、調理など)
- 公共交通機関の利用訓練
機能訓練とリハビリの違い
ここまで読んで、病院で入院したことやクリニックなどでリハビリを受けたことがある!という方は「機能訓練とリハビリは似ているけど何が違うの?」と思われるでしょう。そんな方のために、次はリハビリと機能訓練の違いについて説明していきますね。
リハビリと機能訓練の大きな違いは、「お医者さんからの処方があるかどうか」です。リハビリとは、医師の処方・指示のもと行われるものであり、これを「リハビリテーション」と呼びます。
医師からの処方をもとに、リハビリテーションの専門家である作業療法士・理学療法士・言語聴覚士が中心となり、リハビリを行うという流れです。
一方、機能訓練とは、施設職員である機能訓練指導員が「個別機能訓練計画書」という、ご利用者さま一人ひとりに合わせた目標・プログラムを作成し、それをもとに実施します。
上記したように、機能訓練は高齢者の方の心身機能の改善や今の心身の状態の維持・減退の防止を目的としたもので、介護現場で行われるものです。反対に、リハビリは医師の処方のもと医療現場で行われます。
ここで、機能訓練は訓練医師の処方がないけど大丈夫?と不安になる方もいらっしゃると思いますが大丈夫です。リハビリも機能訓練も日常生活支援のプロが行うものです。
両方とも質の高い支援を行ってくれますし、機能訓練指導員は以下の資格が定められています。
機能訓練指導員がもつ資格と定義
作業療法士
人々の健康と幸福を促進するために、作業に焦点を当てた治療、指導、援助を行う。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為。家事動作訓練、日常生活訓練など。
理学療法士
歩く・立つなどの基本動作訓練、電気刺激・マッサージ・温熱その他の物理療法など。
言語聴覚士
口腔嚥下訓練、発声練習、コミュニケーション訓練など。
看護職員
看護師または准看護師。医学的な知識を生かした機能訓練を行う。利用者様の体調管理や、怪我や病気のリスク管理など。
あん摩マッサージ指圧師
身体マッサージ、リラクゼーションなど。
柔道整復師
身体損傷への治療。
鍼灸師(※)
はり、灸を用いて筋肉痛や血行の改善を図る。
※理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6か月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験を有する者
平成30年の介護報酬改正では、機能訓練指導員の資格の中に「鍼灸師」が追加されました。追加された理由は、機能訓練指導員の確保・配置の拡大のためです。
この鍼灸師が機能訓練指導員として働くには、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6ヶ月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る」と一定の条件を満たす必要があります。
このような指定資格の拡大からも、機能訓練の需要の高さがわかります。今後、デイサービスや高齢者が増加していく中で、機能訓練はとても身近なものになっていくでしょう。
実際には、デイサービスにこれらの有資格者が全て揃っている訳ではなく、この中のどれかの資格を持つスタッフがデイサービスに配置されています。それらの有資格者が中心となり多職種で支援を行うのです。
厚生労働省の調査によると、通所介護事業所において、機能訓練指導員が有する資格は「看護職員」が65.6%、「理学療法士」が11.5%、「作業療法士」が6.1%、「柔道整復師」が10.7%という結果でした。(参考:リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究|厚生労働省)
個別機能訓練計画書は定期的に内容を見直し、その人に合わせて作り替えていきます。もしも利用開始時と身体の状態が変わったり、生活環境が変わったりしても大丈夫です。変化に合わせて目標や支援内容を変更することが可能なので安心してください。
以下の表に、厚生労働省が定めるリハビリと機能訓練の違いについてまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
リハビリテーション | 機能訓練 | |
---|---|---|
目的・基本方針 | 要介護状態になった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない。 | 要介護状態になった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維 持又は向上を目指し、必要な日常生活の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。 |
対象者 | 主治の医師がその治療の必要の程度につき、厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。 病状が安定期にあり、施設において、心身の機能の維持回復及び日常生活上の自立を図るために、診療に基づき実施される計画的な医学的管理 の下における理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを要することとする。 |
要介護者(ご利用者さま) |
リハビリテーションおよび機能訓練の実施者 | 作業療法士、理学療法士、言語聴覚療法士 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、 准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師 |
(参考:リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究|厚生労働省)
シェフズデイサービスの機能訓練について
最後に、シェフズデイサービスの機能訓練の特徴を説明していきます。シェフズデイサービスでは、機能訓練指導員の資格を持つ看護師による機能訓練指導を実施しています。1日15〜20分程度、4〜5名で1グループとしています。
機能訓練では、日常生活を維持するための体力づくりを目的とし、ご利用者さまごとに計画を立て、専門性のある体操に取り組みます。例えば、ボールを用いて歩く、物を掴んだり持ち上げたりするための筋力トレーニングなどを行っています。
まとめ
今回は、リハビリと機能訓練の違いについて説明しました。大きな違いは医師の処方があるかないかです。リハビリは医師の処方・指示のもと対象者の心身の機能の維持回復を図るものです。
機能訓練は個別機能訓練計画書をもとに、利用者の方の心身機能の改善や維持・減退の防止を目的としています。機能訓練には医師の指示がありませんが、専門職によるものという点ではリハビリテーションも機能訓練も同様です。
また、機能訓練が行える資格にも違いがありました。リハビリと比較し、機能訓練は多職種でのチームアプローチがより柔軟に行えるという点もメリットです。
シェフズデイサービスでも指定の資格をもった職員が機能訓練を行なっています。指定の資格を持った職員が配置されている必要があるため、機能訓練を行なっているデイサービスは全てではありません。気になった方は、ぜひ一度お問い合わせください。